お茶の間シネマトーク | 不器用な友情にキュン「カラオケ行こ!」

心がじんわり温まる一本をご紹介。

中学生の合唱コンクールが終わり、ひとり忘れものを取りに戻った聡実(さとみ)くん。
その前に突如、立ちはだかったのは……コワモテのヤクザ、狂児(きょうじ)さん(演:綾野剛さん)。
そして放たれたひとことは——
「カラオケ行こ!」
なんやて? 状況が追いつかない(笑)。
しかもヤクザからの突然のお誘いとは!
聞けば、組長主催のカラオケ大会でビリになった者には、”恥ずかしい刺青”の刑が待っているとか。
絶対にビリを免れたい狂児さんは、藁にもすがる思いで合唱部部長の聡実くんに、カラオケ指南を頼み込むのです。
———
「裏声が気持ち悪い」「声が汚い」「うるさい」……
聡実くんの、忖度ゼロなフィードバックに思わず吹き出し。
ヤクザ相手にまったく遠慮しないその姿が、痛快!
でも、ヤクザと中学生というただのおかしなコンビに終わらないのが、この映画の素敵なところ。
人と人とが、本気で向き合い、時間を重ねると、
そこには自然と、あたたかい絆が芽生えるということを感じさせてくれます。
気づけば、聡実くんと狂児さんは、お互いになくてはならない存在になっていきます。
(→予告を見る)

観ていて、ふと気づきました。
狂児さんの「歌の下手さ」って、単なる音程や声量の問題じゃない。
彼の人生には、こんなエピソードが。
本当は「京二」と名づけられたはずなのに、
父親のいたずら心(いえ、悪ふざけ)で「狂児」に改名されてしまい、
そこから彼の人生のレールは、どこか狂いはじめたのです。
思えば、狂児さんの叫ぶような裏声には、
自分をまるごと受けとめてほしいという、痛切な願いが込められていたのかもしれません。
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クールでちょっと大人びた聡実くんと、
どこか無邪気で人なつっこい狂児さん(綾野剛さん、いい味出しています)。
最初はあまりに凸凹だったふたりが、
お互いの”傷”をなんとなく感じ取りながら、
小さな信頼を育んでいく姿に、こころが温まります。
この映画を観たあとは、
「人を助けるって、きっと、技術でも完璧さでもなくて、
ただ一緒に笑ったり、バカみたいな時間を過ごしたりすることなんだ」
そんなふうに思えました。
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大切な人と、笑いながら観てほしい映画です。
ぜひぜひ、あなたも!レッツ カラオケ🎤✨